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2022年秋の叙勲「瑞宝単光章」受賞インタビュー

2022年秋の叙勲「瑞宝単光章」受賞インタビュー
2022.11.20
朝比奈 保
ディスプレイ事業本部 VMD室

2022年秋の叙勲において瑞宝単光章を受章されたディスプレイ事業本部VMD室の朝比奈室長にお話をお伺いしました。

ーーーこの度はご受章、おめでとうございます。

ありがとうございます。思いがけない受賞でしたので自身も驚いています。
長年にわたり取り組んできたことが、このような形で評価されたのは大変嬉しいですね。

ーーー瑞宝単光章というのは、どのような勲章なのでしょうか?

公共的な職務に長年にわたり従事し、成績を挙げた者に授与される勲章の一つだと聞いています。
私の場合は、日本VMD協会の活動を通して、厚生労働省が所管する技能検定制度の職種の中の国家検定試験となる商品装飾展示技能検定に、中央検定委員として携わって来たことが評価されたとのことでした。

ーーーVMD関連での受章は、朝比奈さんが初めてですか?

私の前任の日本VMD協会理事長だった田代悦子さんが4〜5年前に受章されています。
受章を通じて、少しでも一般の方々にもVMDという仕事のことを知っていただければと思っています。
商業施設に関連する仕事に携わっていない人にとっては、まだまだ「VMDって何?」という状況ですからね。

ーーー朝比奈さんがVMDに携わられたきっかけを教えてください。

私は、学校でインテリアデザインを専攻していました。店舗デザイナーとして仕事を始めたのですが、
いくら素敵な店舗空間を作っても商品のディスプレイや陳列などが適正でないと、最終的には素敵なショップにならないことを思い知りました。その頃、米国にVMDというものがあることを紹介され、最初は店舗デザイナーとしての知識や技能の一つとしてVMDの勉強を始めたのですが、気がつけばVMDの世界にどっぷりと浸かっていた感じですね。店舗デザイナーとしての仕事の経験は、VMDの仕事に大きなメリットとなっています。

ーーー今後の目標のようなものがありますか?

コロナ禍前からすでに、流通の世界はオフラインからオンラインへと移行し始めていました。
それがコロナ禍によって加速度的にオンラインが私たちの生活の中に浸透してきました。
しかし、ここに来て、あらためてリアルショップの重要性が認識されて来ているのではないでしょうか。
確実にオンラインとオフラインが繋がりながら新しい流通の世界を作っていくことになります。
その中でVMDは、マーケティングやブランディングとの連動性をもっと高める必要があると考えています。ラグジュアリーブランドの一部は、すでにそのシステムを稼働させていますが、多くの企業ではまだまだ進んでいません。その中で、私はリアルショップに軸足を置きながら、マーケティングと強く結びついたVMDのあり方を模索したいと考えています。その方法として、今、購買へと至る消費者の心理や、視覚と結びついた脳の働きなどについて調べています。全ての職種についていえることですが、VMDの考え方や表現方法も常に変化し進化していますからね。

もう一つの大事な目標と言うか、課題となるのは、社内の後継者を育てる事です。VMDの職域は広いですからね。VMDセミナーや実地研修といったVMD教育に関する仕事から、お店を作る際のVMD計画やVMDツールデザインといった仕事まで多岐に渡ります。オールマイティになってもらうのが目標ですが、その中のどこかの分野に特化しても良いかもしれません。次の世代のVMDを担っていただく人は、VMDに興味があることが前提になりますが、引き継ぎのためのOJTを含めた社内教育を進めていきたいと思っています。
「混沌」の中に「一定の秩序」を見出すことを喜びと感じる人は、きっとVMDに向いていると思いますよ。

ーーー今日はありがとうございました。これからもご活躍ください。